交配種雄牛は対象メス牛に準じた種雄牛を指定します。お手持ちの在庫精液や入手可能な精液の組み合わせが主体となり、アルタ社精液のみならず日本国内で使用できるあらゆる種雄牛を選択することが可能です。
第1候補、第2候補、第3候補まで出力する方法、第2候補までを計算する方法、あるいは在庫精液など自身で選定した種雄牛のみを選抜させる方法があります。なお、牛群改良の為には各種雄牛の利用率を設定（1頭の種雄牛につき20％から30％程度を上限として計算）する方法を推奨しております。
アルタGPSプログラムについて
近年の種雄牛はゲノム解析の進歩により、父系母系ともに同一の系統から種雄牛が作出されてきており、近い将来近親交配によるトラブルが懸念されております。また、酪農家の皆様は自家繁殖の交配について独自の牛群改良計画を持つ方もいらっしゃいますが、大半は最近のインデックス（GTPIなど）の高い種雄牛や流行りの種雄牛および価格帯など漠然とした目標の中で交配種雄牛を選定している酪農家の方々も少なくありません。
北米の人工授精所は既に酪農家に対する交配牛選定プログラムを開発し、すでにフィールドで利用は長い歴史を誇ります。その利用頻度は非常に高く、北米のAI事業体と酪農家との親密な信頼関係のもと、アメリカではDHIのデータやDC305(デイリーコンプ牛群管理ソフト)を有効活用し、交配プログラムは日常的に使用しております。もちろんAI事業体の目的は単に「販売ツール」としてだけではなく「近親交配の回避・遺伝病の排除」や「健康係数を主とした乳牛の改良」がその重要な役割でもあります。なお、最近ではゲノム解析結果を最大限に活用し、アルタGPSプログラムは従来よりもさらに利用価値を増してきております。
改良目標の設定の例
01改良目標に対応した能力・体型・健康の重み付けの条件設定を行ないます
基本設定
| バランス型 | 能力40：健康40：体型20 |
|---|---|
| バランス型（体型除く） | 能力50：健康50：体型0 |
| 収益型 | 能力43：健康42：体型15 |
| 能力＋健康 | 能力60：健康40：体型0 |
| 能力（体型除く） | 能力70：健康30：体型0 |
| 能力＋体型 | 能力40：健康10：体型50 |
| 健康重視 | 能力35：健康65：体型0 |
| 健康＋体型 | 能力34：健康56：体型10 |
※上記設定割合は自由に変更が可能です。
能力＝乳量：脂肪量：蛋白量
健康＝生産寿命：娘牛妊娠率：体細胞数：分娩難度：死産率
体型＝体型：乳器：肢蹄
02能力のうち、乳量・脂肪量・蛋白量の重み付けも変更可能です。脂肪量や蛋白量については下限を設定する事もできます
03交配種雄牛の計算のために必要となる交配対象メス牛、及び未経産牛の血統情報（父と母方の父）を入力し、合わせて改良目標を確認し、利用精液の選抜を行ないます
04計算されたシートは、酪農家の方に提示するレポートとして印刷されます。作成したレポートはＰＤＦファイルの形式でメールによる送付も可能です
交配種雄牛
アルタGPSプログラムの優位性
アルタGPSプログラムは、父親および母の父の情報をインプットすれば、牛群のサイアーライン（5世代前からの血統の使用頻度）が把握でき、父方の血統の偏りや使用すべき血統が一目で判断できます。父方情報がわかれば、現時点での遺伝的改良度合いも把握でき、その牛群に何が足りないのかなども検証できることから、今後の改良方法に大いに役立てることができます。
近親交配を回避することはもちろん、近年の交配対象の雌牛のゲノム解析結果を有効利用し、あらゆる遺伝病（BY、CV、ハプロタイプなど）を回避でき、流産や死産および仔牛の慢性的な下痢や奇形や難病などを画期的に減少させます。また、メイティングを実施することにより、無駄な精液の購入が減り、常に最新の種雄牛を効率的に購入することができます。DC305とのリンク性があり、牛群管理ソフトを有効利用できます（北米他社のソフトも同様）。対象となる雌牛のゲノム評価値（ジーンシーク社やゾエティス社）のデータを交配プログラムにインプットしメイティングを実施すれば、従来のサイアーラインでのメイティングよりもさらに精度の高いメイティングを可能に致します。
現在ゲノム解析の技術は目まぐるしい進歩を遂げており、昨年では致死遺伝子であるHCD（コレステロール欠乏症）が発見されました。また近年では、同産期病（乳熟、第四胃変異、ケトーシス、乳房炎、子宮内膜炎、後産停滞）への抵抗性もわかるようになりました。
アルタGPSプログラムは、様々な要望に応えられるような柔軟性に特化したプログラムであり、各々の条件（国産種雄牛・あらゆる国の輸入精液・後代検定種雄牛・ジェノミックヤングサイアー・判別精液・価格帯・父親別など）に沿って、何度でも計算することが可能です。従いまして、皆様の目標とされる牛群改良にあった最適の種雄牛を選択できる北米を代表する交配プログラムの一つであります。
